若手社員、飛山社長と大いに語る!





いすゞ新聞では、いすゞ自動車の「企業理念」制定を機に、飛山社長と若手社員の座談会を企画しました。この座談会は、社長の「流れを変えよう」という考えに添い、新しい「企業理念」およびこれにつながるいろいろなテーマについて、自分が思うこと、考えていることを「ホンネ」で話し合うというものでした。当日はハラハラドキドキするほどエキサイティングな話し合いが展開され、予定時間を大幅にオーバーする結果になりました。号外では、今回の座談会の内容を始めから終わりまでノーカットでお知らせします。いすゞ新聞は「皆さんの社内報」「意見が言える社内報」として今後もいろいろなホンネ座談会を企画していきます。

出席者(敬称略)
木下由紀雄(いすゞオート東京)
古賀信行(海外部品部)
佐藤清(製造第一部)
高田栄子(人事部)
高橋弘行(サービス推進部)
飛山一男(社長)
平田洋子(開発管理部、司会)
ブルースロビンソン(北米企画部)
村藤一郎(製品企画室)

「企業理念」て何だろう?

平田(司会)進行を務めさせていただきます平田です。よろしくお願いします。これから座談会を開きたいと思います。

 今日は社長と若手社員との座談会ということで、企業理念について話し合って、理解を深めていきたいと思います。いつも私たちにとって何か雲の上の存在である社長とフリーな形で形式にとらわれずに話を進めていくということになりますので、日頃、私たちが職場の中で感じていることや、問題点、提案なども含めてホンネで話し合っていきたいと思っています。この座談会がみんなにとって思い出に残る楽しいものにしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 最初、何から話していいか多分わからないと思うので、「企業理念」というものが設定されるのですが、私も今回初めてですので、どういうものか辞書を開いて調べたんですが、「企業理念」というものは一体どんなものか、そこの一番最初の大きなところから話していきたいなあと思うんです。

佐藤今、なぜこういうような「企業理念」を設定するのかをお聞きしたかったんです。この忙しいというか(笑)、現場は大変多忙なんですが、このような中でどうしてこういうような「企業理念」を設定するようになったのか、ちょっと社長のほうから教えていただきたいなと。

飛山僕が社長になってからずっと繰り返し考えていたのは、やはり世の中が非常に早く変わっているから、その変化に対応できるような企業体質に変えなきやいけない。そのためには人の考えなり、あるいは行動なりを変えていくということが必要だなと思って、いろいろなことを今までやってきたわけね。
それで、例えば手法的にTQCだ、IPSだ、IJSだとか、いろいろなことをやってきたんですが、今、90年代になって、21世紀に向かおうというときに、いすゞ自動車って一体どこへ行くのかなあ、何を目指すのかなあ、と、こういうふうなたどり着くべき姿というものをみんなと共有しておかなければならないんじゃないかなと。
ですから、そのためにはいろいろな言い方があるんでしょうけれども、企業の日指す方向、あるいは社会における企業としての役割、あるいは使命感というかな、そういうふうなものを明確にして、全員がそういうものを理解をして一つの方向に向いていくためには、そういった企業の使命感、あるいは目標、到達すべき最後の姿、そして企業ですからそれをベースにした経営活動とか企業活動がありますから、そういったものの道標、そういうふうなものがあったほうが極めてみんなの考え方なり、行動なりが一つの方向に向かうなと。
今までそういうことはあまりはっきりしていなかったから、この際、明確に「企業理念」という格好ではっきりしようかなと、こういうふうにしたわけです。

佐藤ああ、そうですか。

飛山「企業理念」は非常に概念的であるし、どっちかというと非常に抽象的だから、それを「長期経営ビジョン」とか、あるいは「経営指針」的なものにして、やや具体的にいすゞ自動車としての経営の在り方なり何なりを一応みんなと一緒に決めて、そしてそれを達成するために社員としてどういうふうに行動していったらいいのか、あるいは何かあったときの判断基準として何を優先的にやっていったらいいのか、というのがこの「行動規範」、大体そういう位置づけで考えていったらどうかなと、こういうことなんです。

高橋そうしますと、「企業理念」をいま制定するわけですが、今までの流れも・・・。飛山社長になられてからTQCとか、いろいろ導入して時代に合わせようということで進んできたと思うんですが、今、「企業理念」、あるいは「経営指針」を制定するにあたって、今までの流れを明確に固めるということなのか、それともこれをキー・ポイントにして、何か曲がり角を曲がっていくようなイメージがあるのかと、お聞きしてちょっと感じたんですが・・・。

飛山今、高橋さんが言われたように、言っていることの一つ一つは僕が今まで繰り返し言ってきたことなんですよ。だけども、それが共有化されていないので、ここらへんを一つのきっかけにして、もう一回大きく流れを変えよう、いすゞ自動車というものを大きく、早く変えていこうというつもりなんですけどね。

 だから、何で今さら「企業理念」なんだ?といううに思われる人がいるかもしれないけれども、まあ、家で言えば一つの家訓的な何か道標というか、何かそういうものがあったほうが・・・・という意味ですね。

木下「時代の流れを変える企業理念」ということなんですが、「企業理念」のコンセプトといいましょうか、「企業理念」とはどういうものだろうな、というのをちょっとお聞きしたいなと思っているんですが・・・。

飛山我々として社会に生きて、企業として社会に貢献していくというふうに考えた場合に、どういう場面で、何をもって、我々としてはこの世に貢献をし、また世界の文化なり、人間生活というものに対していかに豊かに貢献できるか、またしていきたいな、と。そういうものをやはり集約して持っているということは非常に大事じゃないかなと。
同じクルマをつくっても、そういう観点でクルマづくりをするのとしないのとではやはり違ってくるんじゃないかな、というふうに僕は思うんです。まあ、皆さんの考えがあるならおっしゃっていただきたいんですけどね。
今までも僕は同じことを言ってきているんですけれども、なかなかそのように・・・。企業ですから、これは標語みたいにただ文句で掲げられていただけでは何の意味もなさないわけですから、それをベースにして何か行動に移さなきゃいけない。反省してみると、今までどうも標語だけが独り歩きして、それにつながっていく行動、いわゆるアクション・プランというかな、それが欠けていたんじゃないのかなと。だから、もう一回それをはっきりして、そして我々の行動そのものも変えていかないとまずいかなと、こういうことですね。

平田大体わかりました。

飛山難しいよね、これ。辞書を引けば「経営理念とは・・・」と書いてあるし、あるいは「企業理念」とか、言葉によっていろいろあるんだけれども、これはいすゞ自動車って、どっちを向いて、いつまでにどうなろうとするのか、そしてみんなに何を喜んでいただくのか、みんなにどういう幸せなり、豊かさというものを企業として提供していったらいいのか、ということなんだと思うね。

平田社員全体が思うものが一つあるということはやっぱりいいですよね。社員全員がこういうふうに行くんだと、余り変わらない一つの目標があるというのは。そういう面では何か「企業理念」というのはやっぱり必要かな。

飛山と思いますね。と思いますけれども、やはり顔が違うほどそれぞれ皆さん考え方も違うし、それからそれぞれ価値観も違うと思うんですよ、1万6千人なり7千人の人たちが。しかし、違っても一つの方向に行く、それがやはり合ってないというとまずいんじゃないかな、というふうに思うんですけどね。

内向き」から「外向き」へ

村藤やっぱり何か変えなきやいけないなというのもあって、それを変えるーーさっき道標とおっしゃいましたけれどもーー弾みをつけようということだと、今伺ったんですが、やりましょう、というのはかなり伝わってきたので、中身に関して読ませていただいたんてすが、何か柱があるような気がするので、これとこれという、そのへんの中身の説明をちょっとしていただきたいんですが・・・

飛山これは非常に難しいんですが、まず流れを変えていかなければいけないと思うんです。流れを変えるというのは、ほら、美空ひぱりの「川の流れのように」という歌があるんだけれども(笑)、あれも真ん中にこういう石があると、こう来たやつはこっちへ行くわけですね。今、いすゞ自動車というのは、私、見てて素晴らしく人材も多いし、また蓄積された技術もあるし、ディーゼル・エンジンという特色を持っているし、昔から技術的な面での蓄積が非常にあるんですが、やっぱりどっちかというと内向きな会社じゃないのかなあと。外向きじゃなくてね。みんな内を向いて、第一線でやっていると一番苦労すると思うんだけれども、木下君はクルマを売っているそうなんだけれども、本社へ電話したってこっちの都合になっちゃうし、藤沢のほうやら、川崎のほうだっていうことになっちゃうでしょう。

木下はい。

飛山そういう内向きということを外向きにする。これがいわゆる変えなきやならない一番の大きなポイントの一つだと僕は思うんです。ですから、マーケティングという言葉がはやっているんだけれども、本当にお客様の立場に立って、そしてお客様の不満なり何なりを満たすようなクルマづくりとか、対応とか、サービスとかをやっているかどうかというと、そうじゃないよなあ。(木下氏に)それはあなた、一番よく知っていると思うんです。
だから、いま言ったように、まず流れを変える。それには内向きから外向きに変える。だから、うちの都合で向こうにあれしないようにしないといけない。これが一つだね。
それからもう一つは、やはり働きかいがある職場に・・・。みんながそう思うような職場にしていかないとまずいと思うんです。価値観が違うから、それじゃ満足じゃないといういろいろなことがあるけれども、ともかくやりがいがある職場、働きがいのある職場というのは一体何なんだろうかなと。これをやっぱりみんなと意見を聞きながら・・・。そういうふうに変えていきたいなと考えているんです。
もちろん企業としては、「長期経営ビジョン」として他社の追随を許さない物流システム・エンジニアリング企業ということを具体的な一つの方向として挙げておりますのは、昨今のハードばかりじゃない、ソフトを含めた物流システムのほうに転換しようと。これは企業の構造といいますか、裸シャーシーのトラックだけ売っていくじゃなくて、ソフトと架装も含めた商売に切り替えていかなきゃいけないという構造上の変革、売上高上の変革、国内と海外の売上高比率の変革、そういった構造的な問題も変えていかなきゃいけないし、その変えるものとは何かといったら、働く人の心を変え、それから職場の雰囲気も変える。これが一番大事じゃないかなと、こういうふうに思うんだけどな。
760(ナナロクマル、新車開発番号、注)をやっててどうだい?

村藤内向きというのはかなり感じますね。

飛山なあ。

村簾製品企画をやっていますと、「こうしたいからやろうよ」「やってくれよ」という話が往々にしてあるんですが、はっきりしない・・・。これは俺の仕事じゃないとか、そういうのがたまに出てきますよね。そのときに一番苦労するんですが、結局、これしなくちゃいけないと。これをこうしたいわけですから、いつもやるのは、1番得意な人に「やってくれよ」というふうにやるわけですよ。そういうこだわりになって、一番得意な人がやるのが一番効率よくて、一番早くいってうまくいくわけですから、そういうやり方を何とかしていきたいなあというのは常々思っていて、何とかいきかけているかなあ、というのは760であるんですが、まだ十分じゃないですね。

現状打破は「タブーへの挑戦」

飛山それにはやはり、さっき質問をされておったけれども、従来あるいろいろなルールとか、あるいはどこかにあるタブーというのかな、それからいろいろなあるような、ないような取り決めみたいなものをぶち壊していかないとまずいと思うんだよな。これやったんじゃまずいんじゃないかな、これやるとちょっとうまくないんじゃないかな、というふうなものは極力壊す。ということは現状打破ですよね。これがないと、今、あなたが言ったような具合にならないと思うんですね。だから、それは一人一人がそういうふうなつもりでやっていかなきやならない。それはいま言ったように外向きになればだんだんそういうふうになってくると思うんです。
ともかくブルースさんが困っているんだと。「困っているのは、それはこっちの佐藤君の責任で俺の責任じゃない」と言ったって(笑)、いすゞがクルマを売っているんだから、いすゞとしてブルースさんの困っているのを助けてあげると、こういうふうな雰囲気にするためにはいろいろな心の壁、現実上の組織の壁、そういうものを取り払わないと僕はまずいんじゃないかと思うんです。

村藤頼んでも、「上を通してくれよ」というのがありますよね。

飛山そうそう、そう。

村藤今回ちょうど「さんづけ運動」がありましたから、すぐ上という気持ちがなくなるわけにはいきませんけれども、だいぶ取り外して、要は自分の判断で必要と思ったらやりますよ、というのがどんどん来てくれればいいと思うんてすけどね。やりたいと思うんですね。

飛山それは大事だと思うな。
僕はそういう気持ちになっているんだけれども、なかなかそういうふうになっていかないのは何だろうかなあ、と。

村藤一番レベルの低い話をしちゃうと、忙殺という感じがあるんですが、理由はいっぱいあると思うんです。効率の悪い仕事をしているから(笑)。忙しい思いをしても全然アウトプットがないとかっていうのはあると思います。結局、そういう言い訳が出てきちゃうのがないようにいろんな方法でやりたいですね。

飛山そうだな。一人一人の話を聞くと、みんなそういう気持ちもあるし、みんなそういうふうにしようと思っているわけだから、何とかそういうものを結集できるようにできたらいいんじゃないかなと思いますね。
どうかね、平田さん。

平田普段働いている一般の社員全員がそういう気持ちでやっていくように徹底しないと、上にだけ言ってもだめだと思います。その次に受ける人もやっていこう、次に受ける人も・・・。どんどんそれを下に落としていき、また下からとか、本当にこういうことは全員でやらないと、駄目だと思うんです。

飛山おっしやるとおりです。

平田ですから、それをどう浸透させていくか、やっていくかというのは一番難しいところだと思うんですが、でも、私なんかも職場の活性化とか、いろいろやってて、ここだけやっていたらやっぱり駄目なんですね。それをどう波紋を広げていくかみたいな・・・。そういうのはやっぱり難しいし、できたらいいなあ、なんて思いますね。ですから、今回のこの企画にしても、こういうことが一つできたみたいな、そういうちょこちょこしたものでも何かみんな広げていけるのかなあ、なんて・・・。

飛山今、そういうことが一番大事じゃないですかね。ポツッ、ポツッとどこかで芽が出て、それがだんだんに広がっていくような格好にしないと定着しないわな。馬に水を飲ませるのに、水辺までは馬を引っ張っていくことはできるけれども、飲みたがらない馬に水を飲ませることはできないとよく言われるでしょう。

平田そうですね。

「やらされ」から「やる」にしたいですね

飛山だから、やはり会社の中に“やらされムード”というかな、そういうものがあったのでは・・・。ブルースさん、やらされムードというのはわかる?

ブルースわかりません。

飛山難しいね。

村藤あまりやりたいと思っていない人に、おまえの仕事だから、どうしてもやらなきやいけないんだとか・・・

古賀業務命令だとか、社長がやれと言っているからとか・・・(笑)。

飛山例えばTQCなんかそうだけれども、社長がやれと言っているから、つまらないこと、余計なことをやらされるけれども、まあ、やるか、と、こういう・・・。
TQCというのは一体何のためにやるんだと。あれはメーカーとしては基本の動作であって、品質とか、コストとかそういうものをきちんとやる。その手法としていいところだけ使えばいいし、できるだけ実務に直結していかなきやならないと。ところが、若干の資料づくりはやむを得ないけれども、資料づくりを余計やらされちゃって、そしてプレゼンテーションの赤ラインを引いたり、青く引いたり、そんな仕事ばっかりやらされて(笑)、俺は何のために会社に入ってきたんだ、なんて思いながらやっている。そういうふうになったんじゃ駄目だろうと。そのへんが“やらされる”という言葉だな。

佐藤TQC的な手法でクルマをつくるのは確かにわかるんですが、直接現場となると、確かに決められた品質を確保するために、スポットはがれをなくするためにドライバー・チェックをやっているとか、重要保安部品はどうやってチェックしているかーーいろいろな方法でやっていますが、やはりTQC的手法でやるとなると、資料がどうしても多くなるんですよね。プレゼ用にどうしても資料を提示しろと言われると、そういうものの準備ですとか・・・。見せるためのものなのか、それとも本質づくりなのかというのが、今、ちょっと現場のほうでは離れているみたいなんですよ。確かに実際やっているんですが、それをプレゼ用にとなると、やはりどうしても人手がいるんですね。

飛山それはそうだな。

佐藤やはり今、現場もかなり人手不足ということで、現場もギリギリの線でやっている中でプレゼに時間を取られると、どうしても作業のほうが疎かになる。三人でやるところを二人でやらなきやいけないとか、そういうのが発生してくるので、TQC的な手法で仕事をやるというのは現場の中には定着してないとは言えないと思うんです。ただ、それをブレゼ用として見せるとなるとかなりの必要時間というのがいるし、やはりそういうものが本当に必要なのかな、と思っているのが現場なんですよね。
確かにやっていることはやっているんですけどもね。何もノー・チェックでクルマを出しているわけじゃないし(笑)、やはり各ポイント、ポイントで押さえていることは押さえているので、そのやり方というのはデータを取ったり、いろんなことをやっているんですよね。

飛山そうですね。そういう問題はあるだろうと思うし、同じデータを取るにしても、そのデータは生かされているデータなのかどうかということをやはり反省してみないとまずいんじゃないかなあ、と僕は思うんです。
というのは、取ったデータをベースにして何か行動なり、アクションにつながっているのかなあと。つながらないデータだったら、これは取ること自体必要ないし、世の中にクルマが出て事故を起こしたときに記録を取っておいて、遡って、この車歴の何番だというのはデータじゃなくて、記録ですね。記録はまた別問題ですが、いろんなデータを取るというのは、アクションにつながらないデータは取る必要ないというふうに思うし、それからいま佐藤さんの言われた現場の仕事、開発も含めてだけれども、やはりそこには固有技術といいますか、ノウハウというか、そういうものもあるわけですね。手法と技術というものが両方で絡み合いながらうまく完成されていかないと駄目だと思うんです。資料づくりのためにするのはできるだけ少なくしていったほうがいいと思います。まあ、若干のものは説明するときは資料をまとめなきやいけないわけですが、それが目的になってしまってはやっぱり駄目だよな。

平田TQC自体はすごくいいと思うんです。ただ、それは手段として使われるのであるのに、目的になっちゃっている傾向が私なんかから見ても ・・・。

飛山(カメラマンのほうを見て)写真をいま一生懸命撮っているけれども、あれは手段ですね。ある場面を一つ撮ろうという。手段を目的にして商売にするところもあるわけですね。カメラ屋さんというのはそうでしょう。ただ、TQCというのはあくまで手法であり手段であって、目的じゃないわけですからね。
(平田さんに)あんた、なかなか偉いよ(笑)。

古賀事務所のほうなんかで見ると、まだTQCそのものがうまく定着してないというか、みんなTQCというものがよくわかっていないのに、どっちかというと上のほうでTQCがドドドッと流れ込んでいるという感じがあって、まだ足腰が弱いという感じがあるんです。

飛山ああ、そうか。基礎ができていないのね。やはり一番大事なのはベーシックなもの、基本の考え方がきちんとしてないという、そのへんが独り歩きしちゃったりするところがあると思うんだね。

高橋販売なんかを見てても、今のTQCの話と先程の“やらされる”という話とちょっと通じちゃうのかもしれませんが、結局、TQC的に言うと原因追求にならないで責任追及ばっかりな形になっちゃうものですから、例えば何か会議を開くのでも、販売会社の方が呼ばれるときに、主催者側というのはできるだけ文句が出ないような形に根回しして押さえ込んで会議自体がうまく終わればいいみたいな、そういうところにもつながっていっちゃうと思うんですね。もし何かあれば、結局、責任を追及されるというんですかね。なかなか原因追求のほうにいかないで責任追及にいっちゃてて、何かTQCもそのへんのところの形で終わっちゃっているんじゃないかな、という気がするんですけどね。

飛山もしそうだとすると、それが一番の根本的な間違いで、やはり真の原因を追求するというのがTQCの一番のベーシックですね。なぜそうなったのか、何でなんだ、というのがないと本当の解決にならないですからね。病気と同じことで、なぜ俺はお腹が痛いのかという、その原因がわからなきや手の打ちようがないのと同じことですね。お腹が痛くなったのはおふくろのせいだとか、親父のせいだとか、あるいはひょっとすると夕べ食べたもののせいだとか,夕べ食べたものは原因に近いほうになるけどね。そのへんが大事なことじゃないかなあ。

高田事務所のTQCというと、発表のためというのか、「なぜ」というのを自分の今までのやり方から考えて先に決めちゃうんですよね。

飛山解決先行型というやつだね。

高田ええ。それを先に置いちやって、それに向けて魚の骨を描いたり(笑)、私は一体何のためにやっているんだろう、もう答はあるんだと、何かそういうふうに思っちゃうことがよくありましたし、これはちょっと笑い話なんですが、いろんな所から電話がかかってくるんです。で、「部長はいらっしゃいますか」「課長はいらっしゃいますか」と言ったら、普通のときだと「席を外しています」と言いますが、「会議は何時に終わりますか」「いつ戻られますか」と聞きますので、「TQCです」と言うと、「分かりました」と言って、もうそれで向こうは何にも反応がないんですね。だから、ああ、それだけ時間がかかるものだと(笑)、相手の方は思っているんじゃないかなと思って・・・。

飛山外部からの電話があった場合には、これはすべてお客様という考え方をしなきやいけないから、社内の都合で電話に出られないとか何とかっていうのは本当はあってはならないことだし、仮にどうしても席を外せなくても、代理の人がそれに十分お応えできるようにしてあげないと外向きということにならないんですけどね。TQCであろうが、社内の経営会議であろうが、常務会であろうが、これは会社の中の問題であって外じゃないわけでしょう。
今、高田さんが言ったことで一番大事なのは、多分これが原因だというので解決先行型というのかな、解答先行型で、もう先に自分で答をつくっちゃって、そして後で一生懸命に骨と理由をつけてもっともらしくして。これはもう本末転倒ですね。わからなかったらわからなくていいんだから、「なぜ」というところで本当の原因追求していくようにしないとまずいんじゃないかなと思うんだ。それがやはり会社の中のこの「企業理念」であり、「長期経営ビジョン」であり、「経営指針」であり、「行動規範」というもので、もう一回原点に戻って、会社の流れを、雰囲気を変えていこうという趣旨ですね。

ブルース私がいすゞに入社してから、QCをやりますから、英語のQCの本を買いました。全部読みました。
でも、いすゞのQCサークルに入って、いすゞのやり方と本のやり方は随分違いました(笑)。不思議だなあ。でも、理由は、高田さんと同じ意見なんですが、プレゼのためQC会議があって、じやあプレゼのストーリーをまず書きましょう、と魚の骨を描いたり・・・(笑)。
ですから、プレゼはやめるほうがいいと思います。プレゼじゃなくて、何か検査みたいな形で、例えばQCの専門家が週一回、月二回、サークルへ行って、いま現在のやり方を見てアドバイスを出すほうがいいと思います。今、そういうやりかたはしていないでしょう。ですから、みんな自分で、あっ、来月、プレゼがありますから、どうしよう、どうしよう、と、みんなパニックな感じで(笑)、これは本当のQC、TQCじゃないでしょう。ですから、プレゼはあまりよくないし、検査だけ・・・。

村藤検査というか、アドバイスというかね。こうやっているところのやり方が合っていますか、とか・・・。

ブルースはい。専門家が行って何かアドバイスをする。最後にプレゼは必要じゃないでしょう。

飛山よく分かりますね。何のためにやるかということをみんな忘れてしまってね(笑)
だから、何のためにやるかというのは、やはり手法ですから、なぜそうなるのかなあ、という原因を追求して、そして方策を立てて、その方策がうまくいっているかどうかを確認をして、それからうまくいっていたら今度はそれを定着させるようにするとか、あるいはほかの仕事にも広げていくとか、そういうことのためにやっておるわけですし、またいま言ったようなアクション・プランにつながらないようなデータの測定とか、データを取るとかという無駄なことはやらないようにしていかなきゃいけないし、お客様からいろいろな不具合情報がいっぱい入ってくるわけですね、今、会社の中に。
そういった情報というものが今まではきちんと整理されていない。あるものはサービス一部、あるものはサービス二部、あるものは開発へ行ったり、生産部門へ行ったり、バラバラになっている。そうじやなくて、お客様からのそういった不具合情報とか、そういうものは、どこかの窓口に一本化する。それはきちんと層別されて、これは重要クレームであるとか、これはどうだとか、これは開発のどこどこへ行けばいいんだとか、品証のどこへ行く。こういう流れを一本化するように今度は組織を変えたわけです。
ですから、そういう意味で情報をきちんと整理をして、一貫してクオリティ(品質)という面でずーっと一本通して行くようにするとか、そういうふうにやっていく仕組みづくり、あるいは手法、これがQCのベースにならなきやいけないんですね。ところが、そうでない。今、ブルースさんが言ったようにプレゼが来た、何かやらないとまずいなあ(笑)、あれ、あれっていうのでみんなそれをして、そして先に解答が出来上がっちゃって、解答ができて、そいつに理由づけをしていく。これはやはりまずいよな。それは高田さん、まずいよ。

高田はい。

村藤今おっしゃった品証体系の話なんてすが、今、初めてわかった感じがしたんです。品証の組織が変わりましたね。品証の中にいる人も要は目的というか、今おっしゃったことのために一本通して、というのが少なくとも私なんかはわからなかった。

飛山ああ、そうかね。

村藤すみません(笑)。

飛山いやいや、それはもう非常にいい発言だと思うんだけれども、市場から来る情報というのは処理されてないから、ちょうど生のお料理の素材ですな。お醤油に、お塩に、お砂糖、ニンジン、ダイコン、キュウリ、これがいっぺんに市場からバーッと入ってくるわけです。それをきちんと料理して食べられるもいうのは処理されてないから、ちょうど生のお科地の素材ですな。お醤油に、お塩に、お砂糖、ニンジン、ダイコン、キュウリ、これがいっぺんに市場からバーッと入ってくるわけです。それをきちんと料理して食べられるものにして社内に流しませんと、全然機能しないわけです。
だから、今度からはそうじやなくて、これが本当に設計のアクションにつながって、不具合として直していかなきやならないものだとか、あるいはそうでないということが情報として整理されるように今度はしたわけです。そして、そこが責任を持ってやっていく。
それからもう1つは、不具合が起きてから200幾日かかってやっと回答が出ていく。あるいは180日かかって回答が出ていく。これはもうお客さんや何かに大変な迷惑をかけちゃう。それを調べると、会社の中で実際に動いて仕事をして時間というのはわずかです。あとは全部滞留しているわけです。どこで止まっているのか、なぜそこで止まっているのか、この原因追求をするのがいま言ったQC的な考え方ね。
そうすると、いや、忙しくてとてもじゃないけれども手が回らないから、というふうなのもあるし、そんなのは全然受け取ってなかったよ、とかいうのもあるし、これはうまくないな、と。そこで品証のほうで全部、特急便と普通便とに分けて、そしてその部署に着くようにするためにはヨコの社内を一本化しようと、こういうふうにしました。ですから、そういうふうなものがまだ非常にいっぱいあると思うんです。
大変いい質問(笑)。

村藤ああ、そうですか。よくわかりました。

平田今、TQCで話をしましたけれども、次は、今回揚げられている「企業理念」の内容について、皆さん、この一週間いろいろ考えてきたと思うんです。それで意見とか質問とかあると思いますので話し合いをお願いします。いかがでしょうか。職場によっては考え方とか、また現状を既に変えているところもあると思います。見方がまた全然違ってくることもあると思うのですね。それでホンネで現状とこの理念とがまたどうなっているのか・・・。

お客様の満足はハードとソフトの両面で

高橋仕事柄、「企業理念」の「心から満足していただけるサービス」というところにこだわっちゃうというか、引っかかっちゃうというか、そういうところなんですが、サービスは何かというのもいろいろ難しいことだと思うんですが、要はお客さんがクルマを買った後、何かこうしてほしいな、ああしてほしいな、という期待を裏切らないということが最高の満足じゃないかなと個人的には考えるわけです。
商業車、乗用車、いろいろあると思いますが、一番極端な言い方をすれば、お客さんがクルマを何かこうしてほしいなと電話一本を大代表にかければ、近くの所から飛んできて宅配サービスみたいになるというのが究極な姿かなあ、というふうな考えもありますが、いずれにしてもサービスというのはやはり人だと思うんです。それとサービスを供給するということはストックもできないことだと思うんですね。
そうすると、やはり我々が直接できなくて、どうしても販売会社のサービスということになると思うんですが、今のそういう究極の姿とのギャップというのを見ますと、販売会社のサービスというのは非常に劣悪な環境の中で、3K、4K、5Kの中で働いているんてす。メカニック、フロントマンは人手がなくて、朝から晩までお客様の苦情を何とかなだめて処理しているというのが現状だと思うんです。
そのような販売会社のサービスの第一線の人たちに、これからどう生きがいを持たせられるのかとか、どう自分のやった仕事に対して満足感を得られるのかとか、そのへんをまず第一に考えていかないと、具体的にどうというのは私の頭の中ではまだ全然想像もつかないですけれども、そのへんを考えていかないと、いすゞ、いわゆる製造のほうがこういう「企業理念」を打ち出してもなかなか実現できないんじゃないかなと率直な感じがするんですが、そのへんもしお考えがあればお聞かせ願いたいなというところなんですが・・・。

飛山高橋さんの言ったのは一番のポイントだろうと思うんですね。やはり我々はメーカーですから、ハードの面とソフトの面と両方あると思うんです。両面でお客様に満足してもらわなきゃならないわけで、今、たまたまあなたが言ったように、端的に言ったら、この次もいすゞのクルマを買うと。いわゆるリピーターを一人でも多くつくっていくということが我々の一番の嬉しいことでもあるし、一番の期待することですね。もう二度と買わないということになったのではうまくない。
そうすると、またいすゞのクルマを買いたいということは、皆さんもそうだけれども一つ期待効果というものがあると思うんです。期待というのは、ブルースさん、何と言うんだ。エクスペクテーションなのか、ホープなのかな。つまり、こうしてもらいたいなあ、あるいはこんなものが食べたいなあ、とか、自分で何か期待を持っているときがあるわけね。そのしてもらいたいなと思っていることをしてもらったときほど嬉しいことはないんじゃないのかなあ、というふうに思うんですね。恋人でもそうだと思うんだ。高田さんはどうか知らないけれども(笑)、彼氏に本当はこういうふうにしてもらいたいなあ、という何かサムシングがあったときに、そういうふうにしてくれたときほど嬉しいものはないわけね。
ということは、お客様は一つのそういう期待感をクルマに持っているし、それから待遇、サービスにも持っているんですよ。ですから、それから外れた場合は駄目なのね。そういうふうに販売の第一線でやっている受け付けのフロントマンというんですか、その人たちのトレーニングといいますか、育成というのが僕は一番大事なことだと思うんです。
まずお客さんの窓口。その次はやはり物が故障して困るのはお客さんですから、故障したときには即座に直る。あるいはクルマを販売会社へ持っていって待っている待合室も、カムファタブル(快適)な待合室で、そして「今から約30分ぐらいお待ちください」ということがもう自然に分かって、その間コーヒーを飲んだり、テレビを見たりしていたらもうクルマが出来上がって、「お待たせしました」といけるようにこれから変えていきたいですね。
そういう気持ちになるための設備もこれからつくっていかないとまずいなあ。僕は販売店をずーっと見てきましたが、寒風吹き荒れた中で(笑)、ヤッコラ、ヤッコラ重いトラックの下へもぐって苦労していますね。人が集まらない世の中に、そういう職場環境にしておったら、これはもう誰も来なくなってしまう。だから、そういう所はおカネをかけなさいと。
今、私は販売の幹部の方に言っているのは、販売店の規模によってA規模のものもあるし、B規模のものもある、C規模のものもある。それから整備工場も一級、二級、三級というふうに決めなさい。そして一級整備工場というのは何ストールで、どういう設備を持って、どこまでできるのが一級だと、おカネによってもランクをつけなさいと。そして、このお店は一級でいこう、予算は幾らだ、じゃあ、順番にどうやると、こういう計画を全部持っていらっしゃいというふうに具体的にお願いしています。
開発の専門家が販売部門に行って、お客様の立場が良くわかるようになり、嫌というほど痛痒を感じるようになっている。そうしてから開発に戻りますと、今度は本当に外向きの仕事がやれるように僕はなれると思うんてすが、そういうふうに逐次変えていく。
だから、女性のメカニックでも来て働けるようなサービス工場をつくって、お客様にも満足していただくということにしていかないと、「心から満足いただける」ということにならないと思う。
もう一つ大事なことは、病気になったときでもそうなんですが、僕の近所に町医者があるんです。そこへ行くと、帰ってきて夜になると電話がかかってくる。「熱の具合はどうですか。下がりましたか。お腹は治りましたか」と聞く。いわゆるフォローアップということですね。正直言って、失礼ながらそんな名医じゃない、大学病院などに比べると薮医者(笑)に近いんじゃないかなあと思うんだけれども、そうやってフォローしてくれると安心なんですよ。それと自分の手に負えないと思ったときは、その先生はほかの大学病院を紹介するわけね。そういうふうなのを見て、フォローしてくれると、安心感みたいなのがあるでしょう。
クルマも売りっぱなしじゃなくて、売って2、3ヵ月たったら、「クルマの具合はどうですか」と、「こういうアプローチはいすゞではやれているか」となると、やっている人もいるし・・・。

木下やってないですね。

飛山やってないのもあるな。じゃ、トヨタさん、ホンダさん、どうかなと。みんなやっている。それから土曜・日曜の営業。これはホンダさん、トヨタさん、乗用車を売っている所はほとんどみんなやっていますね。当社はどうかなあ。最近、やっている所もあるし・・・。

木下今、当番という形でほぼ対応しています。

飛山(当番)でやっているな。これもなぜということになると、いや時間制の問題だ、そら、人の問題だと、いろいろ問題はありますね。そういうものはやはり現実ですから、一つ一つ解決していかないとそういうふうにならないわけです。ですから、余計人を採って働く環境を変える。そういうふうに期待効果というものを満たしてあげる。これが満足を与える。
そういう期待感というのをみんなクルマに持っている。それが満たされて、「うわ、すげえや」ということであれば、もう一回買おうということになるんですね。
何がハードの面で期待されているかなあ、と。潜在的なものと顕在的なもの、それを見いだすのがマーケティングだろうと思うんですよ。したがって、マーケティングというのはすごく難しいと思うんです。トレンドとか、需要動向とか、何歳が何が好きだとか、そんなものを調べたってマーケティングからプロダクトをつくろうというものは出てこないと思うんだ、僕は。

村藤でも、今までのやり方はそうですね。何歳を狙ってとか・・・。

飛山そうだろう。そしてワーディングだけはすごくソフィスケイティッドなとか、あるいは大変ハイカラな名前だけ先行しちゃうんだけれども、ハードに置き換えた場合、何がいいのかなというのはなかなか・・・。
話がちょっとあっちこっちにいったけれども、満足するというのは口だけではまずいので、今のハードの設備面と同時に人の面、それから教育訓練の面、三つの面でやっていかないと私はできないと思いますね。今、むしろ逆じゃないかなあ、文句を言われるほうが多い。

高橋そうですね。私も新入社員の頃、2、3年間、大型の品質関連の仕事をしていましたから、もうお客さんからは、いろいろたくさん怒られましたけど(笑) 

飛山 だから、今、セールスマンが一番苦労するのは、バッタみたいに頭を下げて、そしてお客さんに謝り、謝り、というふうになってしまうから、本当に情けなくなっちゃうな。

木下先日、実はセールスマンの1ヵ月の行動計画を分析したことがございましてね。当然、車検ですとか、新車点検、恒例の定期点検等、このへんの引き取り納車というのは、今、セールスマンはサービスの一環として進んでやらせてもらっているんですが、そのほかに故障ですとか、クレームが発生したということで引き取り納車があるわけです。その数を入れますと、なんと、40%。全行動件数の40%を占めてしまうわけです。
そのほかに、それに付随したお詫びですとか、代車をお持ちするだとか、そういうようなもので雑件が25%。なんと、65%はそういうもので一日を過ごしているわけです。そうすると、本来の新車を売っていこうというのは、なんと、35%しかできません。というのが現状なんです。
先程もお話がありましたように、販売会社というのはお客様と面と向かっている関係上、やはり内を向いちゃいけないわけですね。朝から晩まで外なんです。外向きなんですね。
内を向きたいというふうな気持ちになるんですが、やっぱり・・・。

飛山許されないよな。

木下許されないですね。で、どうするかというと、なにしろ謝って、そして納得をいただいて、何とかする。で、もらった評価は、「あのセールスマンは駄目だよ」と、最後にやっぱり言われかねないんですね。あるときいすゞから満足度調査というのが出まして、「あそこの販売会社のフロントマンは駄目だね」「俺を担当したセールスは駄目だね」というような答が返ってきますね。
僕ら本当はそれを聞いたときにすぐに理由をつけたがる。他責の念にかられるんですね。「だってクルマが・・・」「でも、こうなんじゃない」というふうにやはり思うわけです。でも、決してそれをお客様には言えないんですね。理由なんかつけたらもうどうしようもない。それを何とかお詫びすることしかないわけですね。ですから、販売会社から見て、この「企業理念」を読んだときに僕はある意味では、非常に嬉しいな、こういうふうに本当になってほしいな、という気持ちがあります。ただ、現状ではまだまだ非常に間題点があります。

飛山そうですね。それは木下君なんか第一線でやっているから、僕は今のお話は非常に日常、切実なる問題だろうというふうに思います。やはりこれはそういうふうに向けていかなきゃならない一つの理想像ですから、現実とこの間には今かなりギャップがあるんですね。ギャップがあるからこそ、何とか変えようというのがいま言っていることなんですから、そのためには具体的な行動計画に地道に一つ一つ置き変えて実行していくということしかないと僕は思うんだな。
さっきのセールスマンの行動パターンを具体的に測定してみた。さて、データで65%がそうで、後の35%しかやっていなかったな、これは大変だと。ここで終わってしまうと次の進歩はないわけです。そこでそれを見た上の人なり、自分なりは、どうやったらそれがそうでないようになるのかなと。
一つは、いいものを出せばそういうことが少なくなるから、メーカーとしてはそういう苦情を少なくしなければいけません。だから、「品質をすべてに優先させ」というのは、ともかくお客様に文句を言われたんじゃしょうがない。だから、すべての判断基準は品質を最優先ということにしたのです。しかし、どうせハードのクルマですからトラブルも出てくるし、故障も起こる。どこのクルマを取ったってそうですから、次はそれに対してどういう対応の早、あるいは相手の期待感にどう応えていくか。
それと同時に65%をいかになくすかということ。これもやはり考えていかなきや駄目ですね。じやあ、別に一人、専門上い納車引き取りをやる人を余計に雇ったり、その専門グループで・・・。そうすると、セールスマン本来の仕事が増える。セールスの仕事からそれを外せというのも一つの解決方法ですから、そういうことをどうアクション・プランにつなげていくかというのが大事だな。

木下はい。

飛山だから、設計している人たちが第一線のことが分かるようになってくると、非常にいいことだと思いますね。
同じお応えするにも、僕はよく例を出して言うんですが、何か不具合が出た。土曜日・日曜日はお休みだ。たまたま金曜日の夜、電話がかかってきた。「大変申し訳ありません。今週は今日でおしまいなので、月曜日になります」という返事をするのと、「分かりました。明日は休みですが、明朝、行くようにいたします」。向こうが、「ああ、そうか。明日はちょっと都合が悪いんだ。月曜日にしてくれや」といっていただくのと、どっち受け入れられるか。やはり「すぐ行きましょう」と言って向こうから断られたのと、こっちから言ったのとではそれだけ違うということですね。
そのへんのことが外何きであるか、内向きであるか、うちの都合で休むのは内何きということになる。

平田皆さん、自分がお客さんになる場面が多いと思うんですね。スーパーでもどこでも、ちょっとしたことでもお客さんになりますね。そのとき自分はお客さんである、という感覚ってやっぱりどこかにありますね。自分のことを当然考えてもらえるみたいな・・・。いま聞いてみて思ったんですが、「自分はお客さんなんだ」みたいな、何かそういうのって本当にありますね。

飛山ですから、「心から満足していただける」というんだから、これは難しいですよ。 

木下 お客様にしてあげられる会社がやっぱりいい会社だと思いますよ、僕は。買っていただいた方に本当に「俺はお客様なんだ」というふうに意識をしていただけたら、本当のいいものが提供できた、お届けできたということだと思います。
先程、期待についてのお話がございましたけれども、私は販売会社でよく思っているんですが、お客様の期待に応えてあげますと、もう一回お客様はその期待されたことをやってほしいと思うわけです。もう一度やってあげますと、やはりお客様はもう一回期待されるわけです。もう1度、三回目にやってあげたときに、お客様というのは必ずほかの人にお話しされます。いすゞはこういうことをやってくれたんだ、こういうところがよかったんだよ、と。それが大事だと思うんです。一つではない、二つではない、三つやる。同じことを三つやるんだと。そういうふうに積み重ねていくと、だんだんいすゞ自動車のイメージが上がってきまして、今よりも非常に違った会社になるんじゃないかな、というふうに僕は常日頃、思っております。

飛山 あなたみたいな人がもっともっと増えるといいなあ(笑)。いすゞのクルマはよくなるぞ。ああ、木下君、あなた、なかなかお客さんに愛されているんじゃないのか。

木下 いやいや。

お客様の期待を察知できる感性を

飛山お客さんが期待していることを自分で察知するということが必要だな。

木下はい。

飛山それはやはり感性がよくないと駄目なんだな。感度がよくないと。感度がよくないと駄目だし、見る目がないとわからない。僕はこれがやはり非常に大事なことだと思うんです。

木下はい。ですから、やはりお客様に学ばさせてもらう。密着して学ばさせてもらうんだ、という気持ちが一番大事じゃないかなというふうに思いますね。

飛山あなた、勉強したなあ(笑)。お客から学ぶという、その発想というのは僕は素晴らしくいいと思う。ともかく、それがクルマづくりの我々の一番大事なことだと思うんですよ。お客様から学んで、そして今の期待効果をわかって、そしてそれをある面ではハードのクルマに、ある面ではソフトのサービスにと、こういうことだろうと思うんだよな、高橋君。

高橋できれば期待のちょっと上を行くといいんですね(笑)。

飛山ああ、それだよなあ。家へ帰ってきて、疲れたなあ。昨日の土曜日に出て、今日の日曜も出て、朝から晩まで経営会議をやって、もうくたびれて帰って、先にお風呂に入って、上がって、一杯飲みたいなあと思っていたものが、奥さんにオーダーすりゃあ出してくれるんだけれども、それがふわっとあると、ああ、という満足感と、まあまあ長年連れ添ったかいがあって、よくわかっててくれたなあと(笑)、そういう気持ちになるわけだね。そうすると、そうだなあ、この次、誕生日にはどこかに連れていくか、あるいは記念にひとつ指輪でもと、こういう期待効果というものに対するリアクションが出てくるでしょう。
しかし、それも自分が「これだけしてあげた」という気持ちがある間は駄目だと思うんですよ。これは木下君のほうに聞かないと何とも言えないが、「これだけしてあげても」というふうに思っている間は駄目だと思うな。何のあれもなくてもそれが自然に、というふうにならないと、今度はどこかで崩れちゃって、これほどしてあげてもわからないのか、お客様との間はともかく夫婦の間はそうなっちゃう(笑)。そうすると、今度は奉仕から不満に変わってくるわけだ。まあ、このへんは難しいところでしょうね。

平田「企業理念」のほかにも「長期経営ビジョン」「経営指針」「行動規範」もありますが、全般的に見て、これを聞きたい、というのがありましたら・・・。(続く)

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