新入社員研修は、100年カレンダーから始まる
 
当社の新入社員研修は、少し変わっています。スキルの習得などは後回しです。まず、100年カレンダーを見せることから始まります。100年カレンダーというのは、文字通り、現在から100年分の暦が1枚の紙に印刷されたものです。この100年カレンダーは、社内のあちこちに貼ってあり、社員は一日に何回か目にするでしょう。そして、思いを新たにしているはずです。私は新入社員を前に、こう言います。
「いいか、この100年カレンダーをよく見てみろ。この中に、君たちの命日が必ずある。私のは、カレンダーの上の方だろう。君たちは、中ほどだ。でも、必ずこの中にある」
 いきなり命日の話をされて、新入社員たちも面喰らいます。若い時には死をさほど意識しません。だから、時間はタップリあると思っています。しかし、100年カレンダーを見せることで、人生は限りあるものだということを肌で感じとらせるわけです。
「ここに君たちの命日を入れてみよ。それまでの一度きりの人生を、どう生きるか考えてみろ」「ハワイ旅行に行く時のことを、想像してごらん。一週間しか居れないとなったら、一秒を惜しんで、夢中でいろいろなことをやろうとするだろう。ホテルの部屋で、一日中のんべんだらりと過ごすヤツはいないはずだ」
 人生も同じだと思います。いくら若くても、残された時間には限りがあります。だから、生きているうちに、頭を使って、体を使って、やれるだけのことをやらなければ損でしょう。そして、自分が幸せになりたいと思ったら、人に喜んでもらうようなことをしなさい、と話します。
前に述べた「利他」の心を持つということです。
100年カレンダーでピンとこなかったら、1000年カレンダーを想像してみて下さい。私も若い人も、カレンダーの上のほうの似たり寄ったりの場所に命日がきます。
私たちが生きていられる時間など、僅かなものです。50歩、100歩の人生で、楽を求めて生きるのが本当にいいことでしょうか。
                 塚越寛著、「年輪経営」(光文社)から引用

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