変わり方のワザ、教えます
第4回 知恵とワザを伝承する
1 知識を知恵とワザに転換する
人間の成長にとって「知識」は必要ですが、「知恵」と「ワザ」のほうがもっと大切です。知恵とワザは長年の経験の中で成功や失敗を繰り返しながら掴んでいきます。
成功するか失敗するかは、知識を行動に移してみないとわかりません。失敗を恐れずに、まず行動してみましょう。失敗をしても、その失敗を乗り越える方法を考え、それを乗り越えたときに知恵とワザが身につくからです。
2 教わる世界と学ぶ世界
学習の方法として「教わる世界」と「学ぶ世界」の二つがあります。
スポーツの世界では自己流でワザを身につけようと努力しても、なかなか上達しないですね。一方、その道のプロに基本をきっちりと教わって練習を重ねれば着実に上達していきます。つまり、基本ワザをきっちりと教えてもらったうえで、自ら練習し体得することが上達の秘訣といえます。教わったほうが早いし効果的なのが「教わる世界」です。基本があるものは教わったほうがいいのです。仕事をする上でも基本ワザがあり、「教わる世界」があります。その道のベテランである先輩からしっかり教わってください。
「教わる世界」に対して、「学ぶ世界」があります。意識改革などは「学ぶ世界」です。
「学ぶ世界」には初級、中級、上級があります。初級は「書物から学ぶ」ことです。
まずは書店に足を運ぶ習慣を身につけたいですね。
そしてよい本に出会い、その本からいろいろなヒントや考え方を吸収してみましょう。読書の習慣を長年、続けていると次第に「速読して内容を掴む方法」、「良書を見つける方法」「興味を持った著者の思想を掘り下げて学ぶ方法」などが身についてきます。読書は学び方の基本中の基本です。これだけははぜひ身につけてください。
中級は「人間から学ぶ」ことです。「我以外、皆、我が師」という言葉があります。皆さんの身近な人と心を開いて対話をしてみましょう。「他人から学ぶことができるし、学びたい」と意識するだけで、日常生活の中で、たくさんのことを学ぶことができます。
上級は「自然から学ぶ」ことです。自然界の中にある様々なことから学ぶ方法です。ときどき自然の中に身をおいて、さまざまな事柄を観察してみましょう。いろいろなこと思ったり感じたりするでしょう。
3 仕事観、会社観、組織観
働く人にとって大切な価値観に「仕事観」「会社観」「組織観」があります。まず「仕事観」について考えてみましょう。
ある人があなたに「何のためにそれほど一生懸命に働いているのですか」と尋ねたとします。あなたは何と答えますか。あなたは少し考えたうえで「お金のため」「出世のため」「家族のため」「能力を伸ばすため」「会社のため」などと答えるでしょう。この答は、あなたがどのような仕事観を持っているかによって違ってくるのです。
次に「会社観」について考えてみましょう。会社は何のために存在しているのでしょうか。創業者のためでしょうか、あるいは、株主のため、社員のため、お客さまのためでしょうか。あるいは儲けるためなのでしょうか。
会社は社会の発展に役立つために存在しているという考え方があります。つまり、社会に役立つよい製品を開発、生産して、流通させ、販売するという営みが企業の活動だという考え方です。
働く仲間たちは「社会をよくするために会社は存在しているのだ」という会社観を共有したいですね。
次に「組織観」のことです。社員数が数万人あるいは数千人という、多くの社員を抱えた大企業を考えてみましょう。たとえば社員数が3,000人であれば、自分は1人で自分以外がおよそ3,000人、つまり1対3,000だと考えれば、「いくら自分一人で頑張っても」ということになり、他人任せになったり、自分の意見を言わなくなったりします。
そこで発想を変えてみるのです。つまり「組織の実態は、20人ほどの対面小集団の連鎖である」という組織観で捉えてみます。また「組織は自己実現を社会実現に転換する変速機である」という考え方もあります。仕事観、会社観、組織観が変わると、仕事の仕方も変わるし、会社との向き合い方も変わってきます。
「価値観を変える」ことが「変わり方のワザ」を体得する究極のワザでもあります。
難易度は高いのですが、ぜひチャレンジしてみてください。
4 次世代の人たちに何を伝えますか
「石の上にも3年」という言葉があります。何事をやるにも3年間は続けてみようという意味ですね。「10年偉大なり、20年畏るべし、30年歴史になる」という言い伝えもあります。
あなたが人生を通じて本当にやりたいことは何ですか。どのような「仕事」をしたいですか、どのような「生活」をしたいですか、そしてどのような「人間」になりたいですか。好きなこと、やりたいことを見つけて、そのことを続けてやってみましょう。まずは3年、そして10年、次いで20年、究極の目標は30年間、続けることです。「好きこそものの上手なれ」というように、好きなことなら努力をすることが苦になりません。ですから着実に上達してその道のエキスパートになりやすいのです。
そして長年の時間をかけて体得した知識、知恵、ワザを次の世代の人たちに伝えてあげましょう。人生は世代から世代へのバトンタッチでもあります。あなたは次世代の人たち何を伝えますか。(連載完了)