変わり方のワザ、教えます

第1回  「異体験」のすすめ

1 人はなぜ変わらなければならないのか

人はなぜ変わらなければならないのか、その理由は二つあります。
一つは私たちを取り巻く環境が変わるからです。特に今の時代は変革期にあるため政治、経済、社会など世の中すべてが目まぐるしく変わっています。人間を含めたどんな生き物も環境の変化に対応するから生きていけるのです。
もう一つの理由、それは変わることは知的、精神的に成長することと同じことだからです。
身体の成長は20歳位までですが、頭と心の成長は死ぬまで右肩上がりで成長し続けることができます。知的、精神的に成長するにつれて、人は大きく変わっていきます。ですから変わらなくなってきたら、知的、精神的な成長は横ばいに入ったということになります。
私は皆さんに変わり方のワザを伝えたいのですが、ワザは知識ではないのです。
ワザというものは身体で覚えなければならない、ワザは知得するものではなくて体得するものなのです。ワザとして使えるようになるためには練習、つまり実際に行ってみることが必要です。

2 意識が変われば行動が変わる
人は誰でも見えないことで大切にしていることがあります。それを価値観といいます。価値観とは何に価値をおき、何を大切にするかという考え方のことです。価値観は具体的には人間観、人生観、仕事観などがあります。あなたは生まれてから今まで、いろいろな人に出会い、学び、体験を積み重ねてきました。それはあなたという一人の人間の歴史でもあります。その歴史の過程で、いろいろな価値観を知らず知らずのうちに身につけてきました。人は自分が大切にしている価値に無意識のうちに優先順位をつけていて、その優先順位にそって行動していきます。お金が何よりも大切だと思っている人はお金に執着します。友だちが大切、家族が大切、健康が大切、出世が大切など、人はそれぞれに価値をおいて生きています。人生ですべてを獲得することは難しいということを知っていますから、優先順位をつけているのです。意識を変えるということは、価値観を変えることでもあります。時代が変わっているのだから、これからの人生には今までとは違う、もっと大切な価値があるかもしれない、と気づいていきたいのです。
私が皆さんに伝えたいのは「これこれの価値がこれからは大切」だということではなく、そのような価値を自ら見つけるための「ワザ」を伝えたいのです。ぜひ「ワザ」を使って世間のあちこちに存在するよい価値を探していただきたいと思います。

3 「異体験」とは何か
私は意識を変えるためのワザの一つとして「異体験」をすることを勧めています。なぜ、異体験なのか。人は仕事でも生活でも惰性の軌道に入りやすいのです。「惰性の軌道に入る」ことを別な言葉で表現するならば「猫道に入り込む」ということでしょうか。私たちは毎日、通い慣れた同じ道を通っていると安心感がありますね。猫道を歩いていると、いつもの同じ顔、同じ風景(現場)しか見えませんから意識(価値観)が固まっていきます。「異体験」とは猫道から外れて行動することです。猫道から意識して外れてみると、今まで会ったことのない人たちに出会い、また新しい風景(現場)が見えてきます。「異体験」を積み重ねることによって、意識(価値観)の新陳代謝が促進され、行動も自ずから変わっていきます。

4 異体験をするためのヒント
まず日常で行う異体験です。惰性になりやすい平凡な日常生活の中でも、ちょっと工夫して猫道から外れてみましょう。時には通勤電車を途中下車して寄り道をして見知らぬ街を歩いてみましょう。同じ会社でも、自分とはまったく違う仕事をしている人がいますね。その人たちと、いろいろな機会をとらえて雑談をしてみましょう。休日にはあちこちでいろいろな催し物がありますね。おっくうがらずに、ぜひ出かけてみましょう。
家族全員で異体験をしましょう。一緒に映画をみたり、ハイキングをしたり、時にはサッカー場、野球場に足を運んでみましょう。もし家族が一緒に感動を共有できたら、それは人生の大切なひとこまになります。
次に非日常での異体験です。ときには思いきって日常から脱却してみましょう。「旅」「ボランティア」などは非日常の異体験として最適です。「旅は道ずれ、世は情け」ということを聞いたことがありますね。旅をすると、日常では味わえない豊富な体験をすることができます。ときには人の優しさに触れることができるでしょう。私たちは日本人であっても日本のことについて、まだまだ知らないことがたくさんあります。いろいろな地方の風習、文化に触れてみましょう。海外での旅はもっと刺激的です。異文化に触れてカルチャーショックを受けながら、「地球は広い」と感じていきましょう。
ボランティアの機会はたくさんあります。体験してみるとボランティアは「人のためにする」のではなく「自分のためにする」ということに気がつくはずです。
異体験は「意識と行動を変える」ためにとても有効なワザです。あなたが自分で考えたユニークな異体験の方法を見つけてみてください。(第1回完)


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