この講演録は平成9年5月,東京ディズニーランドの社員向けに講演した内容を社内誌「ハーモニー」編集部がまとめたものです。その内容の一部を北村が加筆修正しました。


講演録「タコツボからの脱出」

「仕掛人」からプロデューサーへ

ご紹介いただきました風土改革「仕掛人」の北村三郎でございます。私は昭和36年にいすゞ自動車に入りまして、昨年12月に60歳で定年退職いたしました。
36年の間、サラリーマンをやってきましたので、サラリーマンの気持ちがとてもよく分かります。
さきほど「仕掛人」というご紹介がありましたが、「仕掛人」というと何か「必殺仕掛人」みたいなちょっとイメージが良くありませんね。
最近は「プロデューサー」とか「シナリオライター」と呼ぶのが良いと思っています。
私は現場で改革をやってきた実務者です。、難しい話をやさしく説明できないと現場の人は動かないということを私は体験から知っています。ですから今日もなるべくわかりやすく説明をしたいと思います。

タコツボから出ようよ

ここに「タコツボから出ようよ」という小冊子がございますが、これはいすゞ自動車が平成9年の4月に発行したものです。
私は36年間のサラリーマンの体験から、しみじみ思うのですけれども、会社というのはタコツボだなあということです。
私たちは会社に入ってから長い間、会社から「タコツポに入っていれば一生涯面倒を見てあげるよ」と言われて、会社の中に安住してまいりました。
タコツボの中はとてもぬるま湯で、外の風は厳しいのですけれど、そこにいると非常に安楽に過ごすことができます。「会社」をひっくり返すと「社会」になりますけれど、このタコツボの中は一つの社会になっておりまして、この中は社員食堂、保養所、社宅などの福利厚生や諸手当などが充実しているし、毎月給与が必ず銀行振込されてきて安心して生活していけるのです。
ところが私はこの大きなタコツボの中に、さらにいくつかの小さなタコツボがあることに気がつきました。と言うのはタコツボの中に塹壕がいくつもあるということです。その塹壕というのは各部門のことなのです。
例えば、自動車会社で言えば開発部門だとか、販売部門だとか、生産部門というのがあります。
また各部門には担当役員という人がいて、塹壕の入り口あたりに自分のスタッフたちと作戦本部を作って陣取っているのです。そしてこの塹壕の入り口から顔を出して他の塹壕の様子を伺っているのです。そして塹壕に所属している社員はさらにミミズ穴を掘って中に入ってしまう。ミミズ穴に入ってしまうとタコツボの外の風景なんか見えるはずがないのです。
つまり会社はタコツポ・塹壕・ミミズ穴という三重構造になっているのです。
タコツボの中に長くいると次第に世間のことが分からなくなっていきます。そしてタコツボや塹壕にはその中だけで通用する常識があって、その常識の中で動くことがタコツボの中で生きていくための生活の知恵になります。
最近、有名ないくつかの大企業で「海の家」名義で総会屋に献金していることが報じられました。あれは総務部という塹壕の中の常識です。この塹壕の中の常識で動いているうちに、世間の常識とズレが生じてきて社会問題となっているわけです。今までは個の常識が通用しました。ところが世間の常識が変わってきて、会社の常識との間のギャップが大きくなりすぎたのです。
ですから、いすゞ自動車では会社として社員に向けて「タコツポから出ようよ」と呼びかけているのです。本当に世の中も様変りになったものだと思います。

改善と改革

ところで仕事は三つのレベルに分けられます。
まず一つめは、日常業務です。これは毎日のくり返しの仕事ですが、会社の仕事ではこれがベースになっています。自動車会社では品質の良いものを確実に生産するということです。また鉄道会社では時間通りに列車を走らせるということですが、これはマニュアルの世界になります。
しかし毎日の仕事を永遠に続けていても企業は進化しません。一方、世の中はどんどん変化していますから生き残れないのです。そこで二つめのレベルとして「改善」というものが行われるわけです。どんな仕事でも完全無欠ではなく、まだまだ改資の余地があるのです。この改善というものは小集団で行います。
トヨタ自動車は世界の企業としてトップクラスにあります。トヨタ自動車ではこの改善の仕組を実に見事に組織風土にまで高めています。なぜトヨタという会社が強いのかを研究すると、この改善の仕組みにあるわけです。つまり、限りない改善をすることが当り前の風土になっているということです。
「改善」という言葉は今や「KAIZEN」という国際語になっています。外国へ行っても「KAIZEN」という日本語がスタンダードになっているということです。
三つめのレベルとして「改革」があります。これは「変革」とも言いますが、この「改革」というのは小集団でやる改善とは違い、トップのリーダーシツプによって推進されるということです。
「改善」と「改革」はどう違うのでしょうか。「改善」とは先輩の作ってきたいろいろな仕組み、ものの考え方の延長線の上で、もっと良い方法を見つけることです。「改革」は先輩が営々と築いたものを、時代に合わなくなったために、それらをオールクリアして新たな制度、仕組、システムを構築することです。
これだけ世の中の変化が激しいと、今までのやり方を変えていくということでは収まらない、間に合わないということになり、改革というものが多くの企業で行われているのです。

三位一体の企業改革

さきほども多くの企業において、改革が行われているとお話ししましたが、企業改革は次の三つに分けられるのではないかと思います。
一つは戦略の改革。
これは普通リストラと言っております。戦略というと非常に難しく感じられるので平たい言葉で説明します。企業には限られた資源(人・物・金・ノウハウなど)があります。
例えば、ある企業が今までは資源をある事業目的に向けて配分して活動をしていたのを、企業環境が変わってきたので、ある事業を撤退してそこから捻出した資源を新規事業に配分しようということです。これが本来のリストラです。
いすゞ自動車の例で説明すると、乗用車のジェミニ・アスカなどを生産していましたが、乗用車ではどうしても他社と太刀打ちできなかった。その乗用車の開発、生産をやめて、そこで働いていた人たちを新しい事業にもっていったということです。
リストラというと首切りの代名詞によく使われていますが、本来は配分をし直すということなのです。この「リ」というのは組み換えるという意味で、構造を組み替えるというのがリストラです。これが戦略の改革の一番ベーシック、分かりやすい考え方だと思います。
二つめが仕組みの改革。
これはリ・エンジニアリングと言います。会社の仕事は大勢の人が協力し合って仕事をし付加価値を生みだしていきます。そのためには仕組みやシステムが必要で、それをエンジニアリングと言います。エンジニアリングというのは一つひとつの要素技術の組み合わせのことです。先輩が営々と作り上げて定着させてきた仕組みやシステムが時代や環境が変わって制度疲労を起こしているものがある。それをいったん、破壊して組み換えて新たな仕組みやシステムを創ろうとするのが「リ・エンジニアリング」の考え方です。
最後に意識の改革(リ・マインデイング)についてです。長い間会社に勤めていると、先輩から教えられたり、伝えられたりしてきたその会社独特なものの考え方があります。こういうふうに行動すれば回りから褒められる、評価される、昇進できるというような一つの会社内の常識があります。
この常識はその会社独特のDNA(遺伝子)として古い時代から脈々と伝わっているものなのです。
風土改革は、この遺伝子を組み換えるようなものです。「リ・マインデイング」というのは、先輩からいろいろな教育を受けたり、会社の昇進や人事システムの中で知らず知らず身につけていった常識を組み換えて、時代や環境の変化に対応しようとすることです。つまり「リ・マインデイング」とはマインドを組み換えるということです。

良い社風は会社の財産である

ここで企業風土と社員一人ひとりの意識との間にはどのような関係があるのかをお話ししたいと思います。
「社風」という言葉がよく使われますが、伝統ある学校には「校風」というものがあり、田舎に行くと古い家には「家風」というものがあります。それと似たように会社には「社風」というものがあります。この「社風」は「風土」とも言います。この「社風」とか「風土」は経営学では重要な研究テーマで英語ではorganizatoinal climate、つまり組織の気候と言います。
良い社風を持っていれば、それは会社の財産と考えることができます。さきほどの「リ・ストラクチュアリング」だとか「リ・エンジニアリング」とかは、トップダウンによる会社の意思決定で変えることができますが、「社風」というものを力で変えることは難しいのです。
何故かというと「社風」「風土」というのはその会社の役員、社員一人ひとり意識・行動の集合体だからです。このことをよく知って風土改革を進めていただきたいのです。つまり「風土」は一人ひとりの意識や行動の集合体だから、その改革のためにはある程度の時間をかけて、できれば手作りで一人ひとりの意識とか行動を変える努力をしなければならないということです。
農業において良い作物を作ろうとしたら、種だとか、農機具とか肥料も大事ですが、やはり一番大事なのは土壌でしょう。そして企業にも土壌があります。この土壌は社員の心の状態です。社員同志の中や経営との間に信頼関係があるか、部門間に協力関係が培われているか、上司に対して時には異論を唱えることができるか、これが会社の土壌であり、風土でもあるわけです。そういうふうに捉えると分かりやすいのではないでしょうか。
会社の風土というものは短時間でできあがるものでもないし、また簡単に変えることができるものでもありません。だからこそ時間はかかっても、良い風土を創りあげれば、他社には真似のできない会社にとっての素晴らしい財産になるのです。

やりたい部署からやる

これから申し上げる三つの考え方は、日本の産業界では今までの常識の逆をやることなのでユニークなのだろうと思います。何でユニークなのかというと、昔も今も日本の産業界では「やるときは全社でやる」「やる時は社員全員やらなければならない」という考え万が一般的です。
いすゞ自動車の場合、いろいろトップとご相談して決めたことは、「とにかくやりたい部署からやることにしよう」ということでしたが、会社としては思いきった意思決定だったと思います。「やらない部署」を認めるということですから。その代わり10年かけてやろうということになりました。
これはどういうことかというと、例えば会社にはある時期までに達成しなければならないプロジェクトというものがあります。何時いつまでに開発しなければならないという部署では、風土改革なんかやってられないというところもあります。そういうところは当面やらなくてよい。ただ、いずれやらなければならないよ、ということです。また部門役員の中には、風土改革は大事だと思わない人もいます。本気でやる気のない人に無理やり本社が「やれ、やれ」と言ったところで「やったふり」をしたり、「つじつま合わせ」をするだけで成果が上がらないのです。

やりたい人がやる

次にやりたい人が改革をやるというものです。
これは、やりたい部署があったとします。その部署に500人位の人がいたとして、500人全員がやらなければならないということではないのです。
やりたい部署のやりたい人がやるということなのです。そこのところが重要です。
松下幸之助さんの考え方によると、組織というものには「2:6:2の法則」があると言ってます。これは、社員はそれぞれ20%、60%、20%に分かれるというもので、初めの20%は他人の給料分まで稼ぐ。60%の人は自分の給料分をそこそこ稼ぐ、そして残りの20%の人は一応会社には属しているけれど自分で給料を稼ぐことができず、人の稼ぎで給料をもらっているというのが松下さんの組織の見方です。
松下幸之助さんは会社とはそういうものだと、この2割のお荷物の人をいわゆるリストラで社会に出してしまうと、今度は6割の人たちの中から新しいお荷物が生まれてくるというのです。そして、「そういう人たちをどんどん社会に放逐すると、今度は国が面倒を見なければならない。会社というのは社会の中の一つのシステムだから、会社の中にもそういう人を受け入れて、その人たちに何とか仕事をしてもらうように努力する」ということが書物の中に松下語録として書かれています。
風土改革もこの考え方に基づけば、改革の動きをつくる人が20%、改革の動きについていく人が60%、そして残りの20%の人が何をやってもついていかない、足を引っぱるということになります。ですから、全員一斉に隊列を組んで風土改革を進めるより、やりたい人が牽引して行くほうが実質的に変わるだろうと考えているのです。しかし、この後ろの20%の人たちにレッテルを貼ってはいけないと思います。何故なら、会社に入って何かの事情で、例えば適材不適所とか、あるいは上司とウマが合わないとかの理由で個々の力を発揮できないのであって本当はこの会社に貢献したいと思っているはずです。ですから、改革をやりたい人がやればいいのであって、やらないからあいつはとんでもない奴だとか、会社の方針に沿っていないというようなことは言わないことです。大切なのは自由にやっていくことです。

常識を考える

三番目に、常識そのものを考えてみるということです。
会社にはDNAにおける遺伝子のように、歴史や文化があればあるほど、その会社独特の常識というものが出来上がってくるものです。いわゆる「その会社の常識、世間の非常識」というケースがいっぱいあります。例えば新聞種になって世間を騒がせている大企業の場合、その会社の常識というものがあって、社員はその常識に沿って仕事をしてきたわけです。そして疑問に思うこともなかった。そして、ある時それが(世間では)非常識であったということが分かったのが現在の状況なわけです。
私たちは常識で物事を考えています。つまり、自分の会社の常識で考えて仕事をしていきます。
ところが、これからの時代、ここにある常識そのものを考えてみるということも必要なのです。
「常識そのものが本当に良いのであろうか」と。
健康な会社というのは、「おかしい」と感じたことを「おかしい」と発言できるということなのです。ところが「おかしい」と思いつつも、先輩のやっていることだし、皆がやっていることだし、あるいは歴代の人たちがやっているということで、一部の人が疑問を感じても言えないのです。会社の中には、どんな優れた、好業績の会社であっても、いろいろなおかしな非常識な部分がありますし、今、エクセレントカンパニーと言われている会社でも大企業病のウイルスが忍び込んでいます。ですから、自分たちの会社の中にあるちょっとおかしなことというものを感じ取って、そしてそれを発言して、みんなで共有して、おかしなものを治す、「常識で考える」のではなく「常識を考える」ことが必要です。そういうことが健康な風土の会社だということです

風土改革の基本的なやり方

風土改革を進める場合、2つの基本的な方法が考えられます。
一つは、21世紀のビジョンをつくることです。
現在、エクセレントカンパニーといわれる良い会社はこの方法を採用しているようです。つまり、自分たちは将来こういう会社にしておかなければならない、そして、そのビジョンに向けて努力するというもので、「ビジョン設定型改革」と言います。
二つめは、経営の状況が悪い会社、あるいは重度の大企業病に罹っている場合、21世紀のビジョンをつくったところで、絵に描いた餅になってしまいます。そこで、自分たちの会社が今どんな病気に罹かっているのか、病気の現状を把握し、それを治していくこと。まず大企業病の症状と病名は何であるかを特定し、その原因を発見して対処する方法です。これは「問題解決型改革」と言います。

意識が変われば運命が変わる

人の脳を左右の二つに分けてみると、右脳は感性の力を司り、左脳は論理的思考の力であると言われています。受験戦争を勝ち抜いて、企業でも生き残ってきたホワイトカラーの人たちというのは、どちらかというと左脳型人間になってしまっているようです。つまり論理的に物事を考えていくことは得意ですが、自由に創造する力が弱くなり、感じる力が弱くなってきたわけです。ですから、右脳部分を鍛えて全体としてバランスの良い脳を作って時代の変化に対応したいのです。右脳の開発を積極的に行って、ものの見方、価値観を変えていきたいものです。
ビジネスマンは、ものを知っているだけでは価値がありません。例えば、今日の講演会の内容をノートに書いて知識を得ても、それを行動に転換できなければ意味がないのです。行動できないビジネスマンというものは価値がないでしょう。
子供の場合、躾などによって行動から意識を作り上げます。ところが大人の場合は、逆に意識を変えてからでないと行動が変わりません。先に意識を変えていくということです。「意識が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる」と言うことです。
先ほど申しましたように、組織の中にはにはDNAの遺伝子のような細胞ができ上がっていますから、風土改革を行う場合、一人ひとりの社員の意識を変えることをコツコツと手作りでやっていく方法が良いようです。

意識改革のための三つの方法

ところで意識改革の必要性は分かるけれど、どうやって意識改革をやったら良いのかという問いが生まれるはずです。私たちは意識改革の方法について、研究もしましたし、実践もしました。そして現在のところ次の三つの方法が良いのではないかと思っています。この意識改革の方法もスポーツや習い事のように難易度によって初級・中級・上級と分けていますが、この三つの方法の中で、まず初級にあたるのが「異体験」というものです。
これは今までとは違った体験をしようというものです。私はサラリーマンは猫化すると思っています。猫の行動をよく観察してみて下さい。行動のテリトリーが固定しています。サラリーマンもだんだん行動する範囲が固定していきます。例えば朝、出勤のために家を出る時間が決まっている、会社のデスクに座ると行動半径半径はだいたい20メートルです。退社後、飲みに行く店も殆ど決まっているし、時には座る場所も決まっている人もいる。行動範囲が決まっているのです。私がお薦めする異体験は猫道を外すことにあります。あるいは「日常性から脱却」とでも言いましょうか、これを意識的にやってみたいのです。異体験で目指すことは、見たことのない新しい風景を見る、会ったことのない人たちと出会うことです。そして猫化によって固定化された意識やものの見方を改めていきたいのです。この体験は心の中の潜在意識に蓄積され自ずから意識改革が進むのです。
次の中級の方法は難易度が少し高いのですが、それは「自己開示」というものです。人間というのは、だれでも楽しい思い出もあれば、心のキズやシミになっている辛くて悲しい思い出もありものです。この心のキズやシミは誰でも持っているし、けっして悪いことではないけれども、普通は隠したいものです。
私たちは誰でも弱点は見せたくない、知られたくない、逆に良く見せたいというのが普通です。しかし、良いところだけを見せようとするのは難しいのです。人間は誰でも良いところ、悪いところ、長所と短所が混在していて、本籍地は同じところにあります。長所を積極的に見せようとすると自ずから短所が見えてしまいます。同じように良い部分だけを見せようとすることも難しいのです。そのことがわかっているから自己防衛本能が働き、だんだん集団の中で自己表現をしなくなります。ユングの心理学で言えばペルソナ(仮面)をかぶって生き続けるようになります。今までの右肩上がりの時代、会社の人事管理の基本は減点主義でマラソンレースのように長い期間のサバイバルレースです。弱点を見せると、それがマイナス要素となり、減点の理由になります。そのことをサラリーマンはよく知っていて、自己を出さない習慣を身につけていきます。そして顔の見えない、個性のないサラリーマンが生まれていきます。
私は長所と弱点も良いと思っていることも、悪いと思っていることも丸ごと他人に知ってもらう、そして他人のことも丸ごと知るということが大事だと思います。お互いに理解しあうことで人間的な繋がりが強くなり、部署が違っても人間として協力できる強い結びつきが生まれます。今は時代も変わりつつあります。これからは「個性の時代」がやってきます。皆と違ったハッキリした顔が大事にされる時代に向かっているようです。
最後の上級はかなりの難易度になりますが「人間関係の修復」ということです。先程、本当の協力関係は腹を割った人間同士の関係から生まれると言いましたが、これは風土改革を進める上で非常に重要なことです。普通、会社の中の人間関係というと与えられた仕事上の付き合いしかありませんが、それでは向上的な人間関係は形成されません。この人間関係とそのネットワークは金銭的財産よりも重要な財産になっていくはずです。いろいろな人と付き合って、その人たちとの間でさまざまな情報交換をしたいものです。多くの人的ネットワークを持っていれば、ビジネスチャンスが広がり、自分の成長に繋がります。
ところが、人間関係というのは思わぬところから壊れたりもします。互いに個性を持った人間同士ですから止むを得ませんが、いったん壊れた人間関係はそのまま放置されるのが普通です。修復するには大きなエネルギーが必要だからです。しかし大事な人間関係を修復しないことは金銭よりも大切な財産を失うことでもあります。
この人間関係の修復のためには、自分の方から、関係を修復したいという意思を持って、心を開いて相手を受け入れるようにするしか方法がありません。これは簡単なことではないのですが、それをやる価値はあります。他人を受け入れられるようになることによって、自分がさらに成長するからです。たとえば、実力がある人との協力関係があればもっと大きな仕事ができるのに、たまたま誤解から自分と敵対しているとか、いやな奴だからということで声をかけない人がいたりします。これは人的なネットワークという観点から見ると非常にもったいないことです。自分から心を開いて話しかけ、仲間になってもらったら良いのです。人間関係を修復したり、敵対関係にある人と人間関係を築くことはなかなか実践できない難しいことではあります。しかし自分の意識を変えていくためには必要なことですので、努力することが大切です。これができれば人間関係の名人に達するので、私もこのレベルにチャレンジしています。

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