原点に戻るということ

 ちょっとしたきっかけから端を発して、およそ2年をかけて「幸福への原点回帰」(文屋)が誕生しました。
「幸福への原点回帰」は鍵山秀三郎さん(イエローハット相談役)と塚越寛さん(伊那食品会長)の対談集です。
対談の司会は白鳥宏明さん(伊東掃除に学ぶ会代表世話人)に担当していただきました。

本の帯に上甲晃さん(志ネットワーク代表)から下記のメッセージをいただきました。
わが人生の二人の師匠。市場原理主義が大手を振ってまかり通る今日、幸福原理主義を貫くお二人の存在は、まさに、世の救いである。経営のあり方をはるかに超えて、人間の生き方の基本を教えられる。「真理は平凡の中にある」、改めて、肝に命じるばかりだ。

お二人の対談は合わせて3回、鍵山秀三郎さんが伊那市の伊那食品を訪れ、また塚越寛さんが東京目黒区のイエローハット本社を訪れて実施されました。対話した時間は延べ18時間に及び、その録音テ−プを編集者の中島敏子さんが丹念に編集、構成をしました。まさに丹精を込めた手づくりの作品です。

 制作記録をもとに木下豊さん(文屋代表)がまとめた「誕生の歩みとねがい」をお読みください。
あわせて私の「あとがき」の部分もお読みいただければ幸いです。
尚、「幸福への原点回帰」のご注文は「文屋の田園ネット」をご参照ください。 

 下記は鍵山秀三郎さん、塚越寛さんについて今までに紹介した記事です。
鍵山秀三郎さん、「穏やかで優しい人の心を育てる」「どうすれば企業風土は変わるのか」
塚越寛さん、「伊那谷の異色企業」「現代版、経営心得帳」

 この「原点回帰」という4文字に鍵山さんと塚越さんの思いが込められているように思います。
日本漢字能力検定協会が募集した2007年を表わす一つの漢字は「偽」が選ばれ、12月12日、京都、清水寺の森清範貫主が揮毫しました。
揮毫したあと森貫主はインタビューで「このような漢字が選ばれる世の中になってしまったことは悲しい。己の利ばかりを望むのではなく、自分の心を律する気持ちを取り戻してほしい」と話していました。
今年は特に食品を扱う企業での不祥事が相次ぎましたが、赤福、船場吉兆というような老舗まで世間を欺いていたのは驚きです。
また防衛省の上層部、そして社会保険庁の現場にも深刻な腐敗が進んでいたことが明るみに出ました。またC型肝炎の問題では国が国民に本当のことを隠していました。

 人間社会が追求する普遍的な最高の価値は「真善美」で、その対極にあるのが「偽悪醜」です。
私たちの多くはその中間を行きつ戻りつしていますが、本来の姿は少しでも「真善美」に近づこうとすることではないかと思います。
ここ数年、世間全体が「偽悪醜」に引っ張られているという風潮が「偽」という一つの漢字に集約されたのでしょう。

 最近、この「偽」が蔓延するという状況に危機感をいだいている人が増えてきています。ここ数年で「偽悪醜」への傾きが底入れして、その後、長い時間をかけて「真善美」の方向に向けて振り子を戻す動きが出てくると予測しています。
原点に戻るということは、「会社は何のためにあるのか」「何のために仕事をするのか」「どのような人生が幸せなのか」といった根源的な問いに向き合うことではないでしょうか。
「真の改革は本来のあるべき姿、原点に返ること」だという思いを新たにしました。

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