研究所からの情報提供(平成16年10月15日発行分)
手づくりの体験研修プログラム
イオン労組の「拡大同志塾」が臼杵市で開催され、新妻中央執行委員長を含めて各地区の執行委員15人が異体験をしました。今回の体験テーマは「スローライフ」です。
臼杵市は、昭和50年代の経済的に沈滞した時期から、その克服を目指して、行政と住民が連携して町づくりを行ってきました。最近では歴史的文化財の整備(ハード面)や、地域固有の無形の文化の掘り起こし(ソフト面)に取り組んできました。
今後は整備され掘り起こされたものの活用、さらには付加価値をつけていこうという局面を迎えています。そして、臼杵市はその地域再生のコンセプトを「正しい日本のふるさとづくり」としました。そこには日本人の暮らし方・生き方として「人と人のつながり」「自然との共生」という思いが込められています。
この地域再生プログラムの一環として、「うすきツーリズム推進委員会」が新しい観光の在り方を模索していました。このような一連の試みと、イオン労組が組合の事業として開発しようとしているスローライフというテーマがマッチして、今回の「異体験行事」が実現しました。
宿泊施設は江戸時代から保存されている武家屋敷(名称、丸毛屋敷)で現在は臼杵市が管理している建物です。そのような施設ですから、食事はかまどで自炊、就寝は雑魚寝、風呂は五衛門風呂、火力は薪を燃やします。
体験プログラムの中身は市内の自由散策、見星禅寺での早朝座禅と朝粥、多福寺での写経と精進料理、山田朝夫さん(臼杵市地域再生プロデューサー)の講話、夜のミステリーツアー、臼杵石仏(国宝)拝観と文化遺産のこと、6人の臼杵人宅への訪問などなどです。
山田さんの講話の一部「商業施設だけで人が集まる時代は終わった」「市役所は歴史的価値がある古いものを残すためにサポートをする」「市役所は麹、酒づくりは市民」に私はおおいに納得しました。
国宝臼杵石仏拝観ツアーでは長年にわたって臼杵石仏の修復、保存を担当してきた神田高士さん(臼杵市役所)から文化財保護への思い、臼杵石仏の見どころなどを詳しく解説していただきました。文化遺産を保護するという仕事に打ち込んでいる一途な思いに私たちはとても感動しました。
夜のミステリーツアーは「臼杵ミワリークラブ」(薄気味わりー)という地元のボランティアグループが真っ暗なお墓のある場所や暗がりを懐中電燈を照らしながら案内して現地に伝わる妖怪に関する恐ーい話を聞かせてくれるツアーです。このツアーに参加して子供時代に悪ガキ仲間と夜遊びしたお寺での「度胸試し」を思い出しました。
臼杵人宅への訪問というプログラムは地域再生に尽力している6人の志のある臼杵市民を3人のグループで自宅を訪ねてインタビューするという企画です。グループと訪問先をくじ引きで決めて、私はイオン労組の池田さん(マックスバリュー書記長)、倉畑さん(西日本中央執行委員)と一緒に小高い丘の上にある見晴らしのよい場所に建っている古民家「万葉しおりの家」を訪れました。「万葉しおりの家」は観光情報誌「るるぶ」などでも紹介されている手作り古布ちりめん細工の作品を展示、販売しているお店です。数年前まで伊予銀行の銀行員だった石崎達雄さんの奥様が趣味をかねてこのお店を開きました。なぜ古布ちりめんという素材にこだわり、手づくりの作品を丹精を込めて創ってフアンを引き付けているのか、抹茶をいただきながら奥様にその思いを語っていただきました。「古いものは存在するだけで魅力がある。人間も年をとったら自己主張をしないほうが魅力が出る」
ご主人の石崎達雄さんは3日間のプログラムの殆どの場面に参加していただきました。銀行、流通、メーカーと業種は違っても同じサラリーマンです。意気投合して、お互いに自己開示をしながら、サラリーマンの生き方などについておおいに意見を交わしました。
すれ違う小学生たちは見知らぬ私たちに「こんにちわ」と挨拶をします。臼杵市には爽やかで心地よい空気が流れていました。
この3日間、「見る、聞く、嗅ぐ、触る、味わう」の五感をフルに活かした研修体験をさせていただきました。
今回の体験を通じて、手づくり研修プログラムによる学びの大きさ、深さ、濃さを味わうことができました。これからも企業人教育を改革をしようとする仲間たちと一緒にときどきこのような手づくり研修プログラムを創ってみたいと思っています。
このプログラムの作成と運営にご尽力いただいた山田朝夫さん、若林純一さん(竹田土木事務所)、匹田郁さん(臼杵商工会議所)、斉藤行雄さん(大分県会計課)、神田高士さん(臼杵市役所)、そして裏方で支えていただいた大勢の皆様に心からの御礼を申し上げます。
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